肘の内側で尺骨神経が慢性的に圧迫、牽引、刺激を受けることにより、薬指の親指側と小指、手の甲の小指側にしびれ感を生じます。麻痺が進行すると、手の筋肉が萎縮してきたり、薬指と小指がしっかり伸ばせなくなり、細かい動作が行いにくくなります。診断には前述のしびれ、麻痺などに加え、肘の内側を指で叩きしびれ感が誘発されるかどうか(ティネル徴候)、親指と人差し指でものをしっかり把持できるか(フローマン徴候)等を確認します。
治療は薬物療法などの保存療法をまず行いますが、改善しない場合も多く、その場合は手術になります。尺骨神経を圧迫している部分を解放する手術、もしくは神経を肘の前方に移動させる手術を行います。
当クリニックでは局所麻酔もしくは伝達麻酔(鎖骨の上から局所麻酔を注入して患肢全体を麻酔します)で手術を行い、手術時間は神経剥離術で30分、神経移行術で約1時間です。移行術の場合は1泊入院が必要となります。
イラスト入り説明(日本手外科学会 手外科シリーズ8. 肘部管症候群 から引用)

イラスト入り説明